米モロ・ベイ市、先端MBR技術の導入にSUEZを選定

米カリフォルニア州モロ・ベイ市は2019年9月23日、州初となる間接的飲用再利用プロジェクトに膜バイオリアクター(MBR:Membrane Bioreactor)技術を導入するため、SUEZ Technology(以下、SUEZ)を選定した。同社は、長年に亘りMBR技術で培った実績を基盤とした先端MBR技術「LEAP MBR」を開発しており、同技術を排水処理施設(水再生施設)に導入し、処理された再生水を地下水涵養として利用する。

近年の深刻化する水不足を受けて、カリフォルニア州中央部の海岸沿いに位置するモロ・ベイ市は、干ばつに強い持続可能な水資源の確保に取り組んできた。連邦政府や州政府の規制要件を遵守しつつ、海面上昇、津波、洪水氾濫などの自然災害を軽減するために、同市は海岸から離れた地点に新たな排水処理施設(水再生施設)を建設する必要があった。そのためモロ・ベイ市は、コスト効率な方法でより強固な排水処理プロセスの開発や、地域住民に対して持続可能な飲料水源を供給する新たな手法等を検討していた。その一環としてモロ・ベイ市は現在、州政府の規制を遵守するとともに、環境を保護し、市域の住民や企業に対して安全且つ信頼性のある水資源を供給する高度浄水プロセスを採用した水再生施設の建設を進めている。

現在建設中の水再生施設は完成後、州政府要件を遵守した排水処理を施すほか、市域内の地下水を補填する地下涵養を目的とした高度排水処理機能が付随する予定。卓越した水質を維持し、信頼性及び付加価値を提供するとともに、小規模な地域への設置が最適であることを考慮して、SUEZが保有するLEAP MBR技術が、モロ・ベイ市が委託した建設請負事業者Filanc Black & Veatch JV(FBV)により選定された。SUEZが開発したLEAP MBR技術は、同社が過去25年以上に亘り培った実績を駆使して開発された先端MBR技術であり、従来のMBR技術と比較して、エネルギーコストの大幅な低下や生産性の大幅向上をもたらす。FBVの設計では、地下水脈へ再生水を注入(地下水涵養)を行う前に、逆浸透膜と高度酸化プロセスを活用したMBR技術により排水処理を行う。同水再生施設の排水処理能力は1日当たり100万ガロンに達する。

排水処理プロセスにMBR技術を導入するモロ・ベイ市の水再生施設は、カリフォルニア州で初めての試みとなる。同州では現在、MBR技術を介して排水を処理、農業灌漑や産業用水を用途として再生水を活用するプロジェクトが50件以上稼働している。しかし、モロ・ベイ市の水再生施設は、地下水涵養を目的とした同州で初めての施設となる。今回の取り組みは、将来実施される同様のプロジェクトの弾みとなるほか、再生水の地下水涵養を促進する法規制の整備に大きな影響を与えるとして注目を浴びている。モロ・ベイ市担当者のScott Collins氏は、「MBRサプライヤとしてSUEZと共同で取り組めることを、我が市は嬉しく思う。厳選な審査の結果、業界トップのMBRメーカーであるSUEZを選定した」と述べた。

 

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