米国の水処理施設は国家安全保障規制の対象になるべき――連邦環境保護庁と国土安全保障省が下院で要求

環境保護庁(EPA)と国土安全保障省(DHS)の高官は2008年6月12日下院エネルギー・商業委員会の小委員会において、現在浄水場と下水処理場が化学関係施設の安全保障規制から免除されているが、これにはテロの脅威が存在するので、これらを規制対象外にすることを止めるべきであると主張した。

 

EPAのBenjamin Grumbles水担当次官は環境・有害物小委員会において、「EPAは、米国の浄水場と下水処理場において化学関係施設の安全保障を規制する枠組みに重要なすき間が存在するという結論をDHSと共有している。両機関がかかわる必要がある枠組みがあると考えている。現在、これらの水関係施設には、テロ攻撃に対する脆弱性に関する評価の提出が義務付けられていないので、潜在的なテロの脅威が存続したままである」と述べた。

また、DHSのRobert B. Stephanインフラ保護担当副大臣は、「高いリスクがあると判断される浄水場と下水処理場は、化学関係施設反テロ基準のリスクとパフォーマンスに基づく枠組みに従った形で規制されるべきである。DHSの主な目的は、現行の化学関係施設安全保障法のサンセット条項(議会で再認可されなければ、明記されている廃止期日に自動的に廃止される条項)を削除し、浄水場と下水処理場を化学関係施設安全保障規制の対象に加えることである」と述べた。

 

この小委員会では、ブッシュ政権が立場を明らかにしていない次に示す2件の審議中の下院法案を検討するために聴聞会が開かれる予定である。

 

① 下院国土安全保障委員会のBennie Thompson委員長(民主党、ミシシッピ州選出)が 2008年3月11日に提出した法案(H.R. 5577)

化学工場に「本質的により安全な技術」の使用を検討することを求めることを含んだ、化学工場の安全保障を規制する連邦政府の権限を拡大し、修正する包括的な法案である。この法案は、現行の暫定的な化学関係施設安全保障規則の下で免除されている安全飲料水法(SDWA)に基づいて規制されている水処理施設を対象としている。

② 2008年3月5日に当時環境・有害物小委員会の委員長であったAl Wynn下院議員(民主党、メリーランド州選出)が提出した法案(H.R. 5533)

DHSの歳出予算の一部として設けられた化学関係施設安全保障プログラムを修正し、拡大するものである。この法案には、「本質的により安全な技術」に関する条項は含まれず、また水処理施設は免除されたままである。

 

上記小委員会のHilda Solis副委員長(民主党、カリフォルニア州選出)は、現在の化学関係施設反テロ基準は、連邦政府が地域社会に対するリスクを減らすこともできるより安全で費用効果的な技術の検討を求めることを禁じている「銃と警備員」を用いるシステムに頼っているとして批判した。また、同氏は浄水場はSDWAとEPAの管轄下にあるべきであると考えていると述べた。

最後に、①の法案については、DHSが現在の形ではリスクの高い化学工場の安全を確保するための現在と今後の取り組みに悪影響を与えるとして、また大都市水道局協会(AMWA)が上水道事業者がその専門的知識と地域の源水の特性に関する知識に基づいて運営する能力を台無しにするとして反対するなど批判が多い。

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