遼寧省が汚水排出標準を大幅に厳格化、8月から実施

遼寧省の第11次5カ年計画(2006~2010年)の総量削減目標を達成し、遼河整備の新たな目標を達成するために、遼寧省環境保護局は、遼寧省質量技術監督局と合同で「遼寧省汚水綜合排出標準」を作成した。2008年8月1日から実施される。

 

【新基準の概要】

新標準は、国の現行標準より厳しく、25種の汚染物質の排出制限値を定めている。

新標準実施により、遼寧省のCOD年間排出総量が現在の64.4万トンから20万トン程度削減できる。例えば、渾河の水質は現在Ⅴ類で、水量の多い時にはⅣ類であるが、新標準実施により、最も良い時でⅢ類となり、これは水泳ができる水準とされている。

朱京海遼寧省環境保護局副局長の説明によれば、今回の新標準は、全国の他の省・市のものより厳しく、汚染物質排出規制全体の内容についても国の現行標準よりも厳しい。

新標準では、水質汚染排出濃度と総量規制の二重の基準を定め、25種の汚染物質の排出制限値と一部の業界最高許容排水量を定めた。うち11種の汚染物質は国の「汚水綜合排出標準」で既に決められているもので、残り14種類は、硼素、モリブデン、酸化チタン粉末など、遼寧省の工業に特徴的な汚染物質で、国家標準で定めのないものである。

新標準では、すべての地表水の水域と海域を、排出許容区域と禁止区域に区分した。排出禁止区域では汚水を直接に排出することが厳禁される。排出許容区域に排出される汚水については、一律に直接排出の場合の水質汚染物質排出制限値が適用される。排出禁止区域では、汚水排出口の新設は禁止され、既存の汚水排出口の排水は、受納水体の類別に基づき、それぞれの水質標準を満足させなければならない。

新標準では、各級の環境保護部門が各施設について監督検査を行う際、現場でサンプリングを行った結果をもって、排出標準を満たしているかどうか、及び環境保護関係の管理措置を実施できているかどうかを判断する根拠とする。また、「都市汚水処理場の汚染物質排出標準」を遼寧省で執行する場合の水質汚染物質排出標準、及び各種医療機関の水質汚染物質排出要件についても明確に規定された。

 

【4つの効果】

この新標準の実施により、以下の4つの面での効果が期待される。

(1) 省エネ・排出削減及び流域対策の目標達成の保証となる。第11次5カ年計画期間(2006~2010年)において、遼寧省ではCOD排出総量を12.9%削減する計画であるが、汚水排出標準を大幅に高めることにより、地表水の質を改善でき、汚水の資源化が可能となり、遼寧省における水資源不足を緩和することができる。

(2) 産業配置と産業構造の調整が促進され、また、汚染の集中規制がしやすくなる。ハードルが高くなることにより、汚水対策コストの比較的高い企業がインダストリーパークへ移転し、集中を促すことができる。

(3) 産業構造性汚染の対策が推進される。新標準の実施により、製紙、冶金、化学、石油、繊維、染色など重点業界の汚染企業における製品構造の調整、プロセス改革、汚染対策などが促進され、汚染が多い企業及び製造プロセスの淘汰が促進される。

(4) 飲用水の安全が確保される。新標準は、省内の水体を汚染排出規制区域と重点保護区域に区分することにより、省内の水体を分類管理し、それぞれの区域についてそれぞれの規制を行う。

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