科学諮問委員会、飲料水中の細菌に対するよりよい保護手段の検討をEPAに提言

環境保護庁(EPA)の科学諮問委員会の飲料水委員会は2009年9月14日に発表した報告書案のなかで、同庁は、細菌汚染を防ぐために上水道の管理のさらなる改善を目指すことを検討すべきであると提言した。

同委員会は、公共上水道における細菌の抑制のための1次規制である全大腸菌群規則の改定に向けてのEPAの分析作業のレビュー案作成の一環として上記の論点などを提示した。ただし、このレビュー案作成は、進行中の作業であって、同案はまだ合意された勧告ではない。

レビュー案のほかの論点は、次の通り。

  • 小規模上水道事業者に大腸菌群を監視する際の水試料採取の頻度の削減を許すことのないようにすべきである。
  • EPAは、大腸菌群が検出された後の是正措置によって問題が是正されると思い込まないようにすべきである。
  • EPAは、全大腸菌群と病原性大腸菌の測定結果が、規則の改定によって一般の人々が得られるメリットを測る唯一の有効な尺度であると思い込まないようにすべきである。

このほかにレビュー案では、以下の指摘がなされている。すなわち、

この改定によって起こりうる影響を推定するためのデータベースがないということがEPAにとって最大の問題であるが、このような場合は、専門家の判断に基づいて推定するのが妥当なアプローチである。

ところが、EPAの分析では、小規模事業者がこの改定に対応して講じる是正措置は10 %しか増えないと推定されている。これは驚くべきことであるし、がっかりすることでもある。

EPAは、是正措置を講じる小規模事業者がもっと増えるように規則を策定できれば、長期のメリットが大幅に増えるかどうか判断するために、もっと大きい是正措置の増加、たとえば、50 %増、に基づいて分析すべきである。

 

ところで、科学諮問委員会が今回このような発表を行なったのは、次のような経緯によるものである。

現在の全大腸菌群規則では、細菌汚染の指標として全大腸菌群と病原性大腸菌の測定結果を用いているが、この規則の改善を検討するために2007年に特別委員会が開かれ、2008年秋にようやく原則的合意に達した。

試料が全大腸菌群あるいは病原性大腸菌のEPAの基準に違反していることを示した場合、現在の規則では、上水道事業者に住民に警告することだけが義務づけられている。この警告で、大規模事業者は是正措置を取ると思われるが、小規模事業者は財政が苦しいのでそうしない可能性が高いとEPAは考えている。

原則的合意は、試料が違反した場合、EPAが是正措置を取ることをその事業者に義務づけるように規則の基本的変更を行なうよう勧告している。

規則の改定に備えて、EPAは、費用便益推定値や改定で予期される是正活動の説明を含む規則の改定を裏付けるための分析を行なって、科学諮問委員会にその分析をレビューするよう依頼したのであった。

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