EPAの2010年の水質浄化法(CWA)に関する主な課題は、水関係インフラのための財源、栄養塩の削減、CWAの管轄に関する立法問題などである。
(1) 水質やインフラを改善するための財源
環境保護庁(EPA)と政府監査院(GAO)は、今後20年間に廃水処理と水関係インフラのための財源が3000億ドル~5000億ドル(約27兆円~48兆円)不足すると推定しているが、州政府が財政悪化に苦しんでいるので、連邦政府の関係資金は、水質浄化のニーズを満たすにははるかに及ばない。
これについては、1987年以降再授権されていない州水質浄化整備基金プログラムを再授権させるための法案、「水関係インフラ資金供給法(Water Infrastructure Financing Act)(S. 1005)」および「水質投資法(Water Quality Investment Act)(H.R. 1262)」、のなりゆきが注目される。
(2) 雨水流出を抑制する規則
2009年12月に公布された建設工事現場から出るストームウォーターを抑制するための最終規則は、2010年2月1日に発効し、4年の間に段階的に導入される。
この規則によって、10エーカー(約400アール)以上を乱すサイトの所有者と運営担当者が初めてストームウォーターの排出に関する国のモニタリング要件と法的拘束力のある数値限界の対象となる。
(3) 栄養塩の削減
EPAによると、全国にある湖、貯水池、池などの多くの水質が栄養塩によって悪化して、州の水質目標を満たすことができなくなっている。栄養塩は、肥料、下水処理場、タンク方式の汚水処理、家畜糞尿、都市からの流出水、大気からの降下物などによってもたらされている。
EPAは、環境保護団体が起こした訴訟の和解によって求められたため、フロリダ州について栄養塩水質の数値基準案を2009年1月15日に発表した。
今後、現在の規制執行方針で考慮されていないストームウォーターや農業排水のような不特定汚染源からの栄養塩の管理方法を見出さなければならない。
これにも関連して、政府機関の縦割りなど解決すべき問題が多いが、すべての汚染源を流域全体で管理するアプローチに関する法案が2010年には提出され、検討される予定である。
(4) CWAの管轄に関する立法問題
連邦がどの水域をCWAの対象とするかについて明確にすることは、2010年にも最優先事項である。これが決まらないと、たとえば、関係の許可を出すことができないからである。
そのための活動の現況を簡単にまとめると、これまでに出された現行法の管轄範囲の修正法案は、その範囲を拡大する方向であり、これに対する反対者と支持者が対立しているので、そのための論争は続くものと考えられている。
EPAはこのほかに、汽力発電所からの廃水排出の26年前に作られた基準を改定するための規則案の作成に着手し、また発電所や製造施設の冷却水取水口に関する規則案も2010年の半ばに発表する予定である。