米国環境保護庁(EPA)とエネルギー省(DOE)は共同して、意図的なあるいはそうでない汚染が起こった場合にそれを検出する水道システムの能力を高める革新的な水質ソフトウェアを開発した。そのCanary(カナリア)ソフトウェアは、殺虫剤、金属、病原体などの各種の化学的・生物的汚染物質を検出するのに役立つものである。汚染が検出された時点で、水道事業者は、顧客がその水を摂取するのを防ぐために「飲まないでください」という命令を出すことができる。
EPAの研究開発局担当のPaul Anastas次官は、「この先端技術は、すべての米国民を守り、我が国の上水道が脅威にさらされることがないようにするのに役立つ。新しいソフトウェアはまた、我が国の飲料水システムを改善し、水が飲むには安全ではないと分かった時点で上水道事業者が顧客にすばやく知らせることができるようにするものである」と述べた。
上水道事業者は、水質センサーのネットワークとともにこのソフトウェアを用いて、汚染を迅速に検出し、対応が必要な場合と対応方法をもっと的確に判定することができる。このソフトウェアは、水質測定結果のなかの自然変動と有害な汚染を区別するのを助け、水道事業者がいつ汚染の可能性について調べるための措置を講じ、それに対応すべきかを示すための警報を送るのに役立つ。国土の保安目標を達成するのに加えて、Canaryは、日々の水質管理を強化し、すべての顧客のために水の安全と安全保障を確保するのに使える。
Greater Cincinnati Water Works(広域シンシナティ上水道)は、このソフトウェアを試験的に使う最初の事業者となり、2007年以来汚染事故の検出・管理の補助にCanaryを用いている。現在、米国のニューヨーク、ロサンゼルス、フィラデルフィア、サンフランシスコという4都市とシンガポールでこのソフトウェアを評価中である。
EPAとDOEは、Canaryの開発についてR&D Magazineから2010年「研究開発100賞(R&D 100 Award)」を受賞した。この賞は、その年のトップクラスの最先端技術(ハイテク)を評価するものである。
Canaryは、無料のソフトウェアツールとして、顧客に安全な水を提供しようと努力する世界中の上水道事業者が利用できる。15カ国の600を超えるユーザーがこのソフトウェアにアクセスしている。
Canaryに関するさらなる情報は、以下のウェブサイトで見られる。
http://www.epa.gov/nhsrc/news/news122007.html