2013年3月27日、EU加盟国官僚(COREPER)によって水枠組み指令および環境質基準(EQS)指令を改正するための提案が却下された。同提案は、2013年3月21日にEU理事会の議長国であるアイルランドの交渉人や欧州議会のRichard Seeber議員によって調停されていたものである。加盟国は、水域の化学物質汚染への対応を緩和するねらいがあり、争点となっていた3種類の医薬物質は優先物質リストへ追加されない見通しとなった。
3種類の医薬物質は17α-エチニルエストラジオール(EE2)、17β-エストラジオール(E2)、及びジクロフェナクで、それらを規制する科学的な正当性が疑問視されていた。これら3物質をリストへ追加しない代わりに、各加盟国が監視しなければならない物質のウォッチリストへの収載が提案された。また、新規に提案された12物質の環境質基準(EQS)の遵守期限を6年延長することも合意された。今後、2013年4月10日にさらに提案を改善するための協議を経て、2013年5月または6月に最終的な決議が実施される。
加盟国官僚はこの方針に比較的前向きな姿勢を示している。しかし、水域を良好な状態に改善するための措置を欧州委員会へ提出する期限などをより明確にするべきであるとしている。欧州環境ビューロー(EEB)のMartina Mlinaric氏は、「加盟国は何の憂慮もなく、私たちの健康を危険に晒しつづける有害な化学物質を河川、湖、そして湿地に垂れ流す決定を下した」と厳しく非難した。