2013年8月22日、米国カリフォルニア州公衆衛生局(CDPH)が全米初の六価クロムに関する飲用水の水質基準案(下記URL参照)を同州行政法局(OAL)に提出した(従来の基準は、六価クロムのほかに三価クロムも含めた「全クロム」に関するもので、三価クロムは「無害で、必要な栄養素」とされている)。同案は、翌8月23日にOALのWebサイトに掲載され、パブリックコメントの募集が開始された。
http://www.cdph.ca.gov/services/DPOPP/regs/Documents/DPH-11-005HCMCLRegText.pdf
http://www.cdph.ca.gov/services/DPOPP/regs/Documents/DPH-11-005HCPublicNotice.pdf(規則制定案通知:公聴会の予定、規則案作成の経緯、規則案要旨などを記載)
発表された基準案では、六価クロムの最大汚染濃度(MCL)が10 ppb(10 mg/l)と規定されている。これは、同州の全クロムのMCL(50 ppb)の5分の1に相当する(連邦政府の全クロムのMCLは100 ppb)。カリフォルニア州規則集第22編第64213項(22 CCR 64213)などの修正案として公示された今回の規則(修正)案には、主に以下のようなものが含まれている。
- 22 CCR 64431(無機化学物質のMCL基準)修正案:公共水道水中の六価クロムのMCLを0.010 mg/lと規定
- 22 CCR 64432(無機化学物質のモニタリングとコンプライアンス)修正案:六価クロムの「報告目的のための検出限界」(DLR)を0.001 mg/lと規定。全クロムがそのDLR(0.01mg/l)を下回っていれば、六価クロムのモニタリングは不要
- 22 CCR 64447.2(無機化学物質の水処理に関する利用可能な最善の技術(BAT))修正案:六価クロムについては、凝集/ろ過(三価クロムへの還元が必要)、イオン交換、逆浸透膜と規定
- 22 CCR 64465(公衆への通知の内容と形式)修正案:「MCLを超える六価クロムを含む水を多年にわたって飲みつづけた場合、人によってはがんリスクが増大する可能性がある」と通知することを規定
- 22 CCR 64481(消費者信頼報告書の内容)修正案:「メッキ工場、皮なめし工場、防腐処理された木材、化学合成、耐火物生産、繊維製品製造工場、天然鉱床の浸食によって排出」と報告することを規定
なお、米国化学工業協会(ACC)は今回の基準案について「公衆衛生保護のために必要なレベルをはるかに下回った値」と話し、「現在の全クロムに関する連邦やカリフォルニア州のMCLのレベルの水を飲んだ齧歯動物で毒性は観察されなかった」とする審査・公表済みの14本の論文を引用している。