国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会、ラテンアメリカ地域における2005-2015年の水に関する法体系変遷をまとめた報告書を発表

国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は、2005年から2015年までの、ラテンアメリカ・カリブ諸国における、水に関する法体系の変遷をまとめた報告書を発表した。

過去10年間ラテンアメリカでは、従来の水資源に関する法令の改正や改正案が、多く手続きされている。2005年のチリの水資源法改正、2004年、2008年、2013年のメキシコの国家水資源法の改正、ウルグアイの2004年の憲法改正及び2009年の国家水政策原則法No.18.610の改正などで、アルゼンチンでも、2006年にコルドバ州で、2010年にはパンパ州で、州法が改正されている。改正は、水資源の大量使用、人口の変化、都市化、技術革新、水資源の枯渇、汚染、地元住民とのコンフリクトや気候変動など、今世紀に入って深刻となった様々な要因により推進された

ラテンアメリカでは近年、大規模な投資やプロジェクトによる、地元住民の農業用や生活用に使われている水の大量使用により、地元住民との問題が生じている。地元住民による農業用や家庭用の水の使用は、多くの場合法により管理されていない為、法的許可を取得した大規模プロジェクトとのコンフリクトが発生するのが原因であり、この為、特定のグループの権利を保護する為の法整理が必要となっている。

報告書では、水資源に関する新しい法制定の例として、以下が紹介されている。

  • ベネズエラの「水資源法」(2007年公布)
  • ニカラグアの「国家水資源一般法」(2007年公布)
  • パラグアイの「水資源法」(2007年公布)
  • ペルーの「水資源法」(2009年公布)
  • ホンジュラスの「水資源一般法」(2009年)
  • アルゼンチンのブエノスアイレス市の「水資源の環境一般法」(2010年)
  • エクアドルの「水資源使用法」(2014年公布)

ラテンアメリカの水資源に関する新しい法令や法令の改正では、殆どが、住民の水の使用権を確保し、水資源や水資源のサービスの民営化禁止などの手段により、公共使用のカテゴリーを設定したものとなっている。また従来複数の当局に管轄されていた水資源の管轄当局の統合化や、インディオ系の原住民の権利の確保、水資源の経済的側面重視、自然資源である水資源の環境保護も、新たに法令に取り入れられるようになっている。

ECLACの報告書は、以下のサイトでダウンロード可能(西語表記)。
http://repositorio.cepal.org/bitstream/handle/11362/38947/S1500777_es.pdf

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