ブラジルのテメル暫定大統領は2016年7月12日、新築の集合住宅を対象とし、各戸に個別に水道メーターを設置することを義務付ける法令No.13.312*1を公布した。
法令は、2007年1月5日公布の、上下水道整備に関する連邦政府の政策ガイドラインを規定する法令No.11.445の一部を改正し、第29条の水道料金設定に関する条項に、新しい集合住宅の建設に際しては、水道メーターを各戸に個別に設置することを義務付ける規定を追加するものとなっている。5年後の2021年7月12日以降建設が完了する建物に適用され、既存の集合住宅には適用されない。2011年にブラジル社会党PSBの上院議員により法案が提出されていたもので、法案は6月22日に承認されている。
ブラジルでは現在集合住宅の水道料金は、建物全体に設置されたメーターから計算される料金を居住戸数で均等割りして支払われている。法令は、節水と同時に、居住者の水使用量に応じた公平な料金支払いを目的とすると政府は述べている。
サンパウロ市の住宅協会会長は、個別の水道メーター設置により、水道管からの水漏れ検知も出来、新しい規定は効果的と評価している。また新しい集合住宅への個別の水道メーター設置は、大きな経済インパクトを伴うものではないが、既存の建物に適用する場合は、建築タイプにより技術的な問題を伴い、経済的にわりに合わない場合もあろうと判断している。
サンパウロ首都圏では既に、個別の水道メーターを設置しているアパートや商業施設が1万2000戸以上あるが、この法令適用により、水使用量の35%が節約される見込みと水道会社はみている。
*1 http://www.planalto.gov.br/ccivil_03/_Ato2015-2018/2016/Lei/L13312.htm