2017年8月24日、中国の環境保護部は、2017年上半期の「水汚染防止行動計画」における重点任務の進展状況について報告した。各省や市からの報告によると、全国の水汚染防止業務は、全体として積極的な進展を遂げたが、一部の地域や業種では遅れが生じており、期日通りかつ水質を保証した上での2017年重点任務の達成は難しい状況にある。
2017年6月末時点で、地表水基準に非適合で規制対象に挙げられている全国の343事業者のうち、基準適合計画を制定および実施済みなのは325事業者で、全体の94.8%に達している。同計画の制定および公開を未実施の18事業者は、主に広東省、河北省、陝西省、四川省、甘粛省に分布している。
黒臭水(悪臭汚水)
全国の地級市以上の都市における2100の黒臭水域のうち、全体の44.1%を占める927の水域で黒臭水対策工事が完了している。河北省、山西省、遼寧省、安徽省で、いまだ着工に至っていない対策工事の割合は30%を超える。重点都市における681の黒臭水域のうち、対策工事が完了している水域は348で全体の51.1%。済南市、青島市の3つの黒臭水域における対策工事については、未着手の状態にある。
図 中国・地級市以上の都市における黒臭水対策工事の実施状況
(出典:中国環境保護部データよりエンヴィックス作成)
都市生活における汚染防止
809カ所の汚水集中処理施設が全国で新規建設(改築、拡張)され、そのうち敏感(脆弱)地域(重点湖・沼、重点ダム、沿岸海域の集水域)内にある173カ所の都市汚水処理施設については、基準向上改造により、その排出基準が1級A排出基準にまで引き上げられた。新たに敷設された汚水管網は17万kmに達し、再生水処理能力は1日当たり300万トン増加した。天津市、江西省、内モンゴル自治区、広西チワン族自治区、新疆ウイグル自治区、湖北省、広東省などの省(区、市)での業務は、やや遅れた状態にある。
農業・農村における汚染防止
全国で画定済みの家畜家禽飼育禁止区は累計4.9万カ所で、面積は63.6万Km2、禁止区内で閉鎖または移転済みの家畜家禽飼育場(飼育区)は、累計21万3000カ所に及ぶ。山西省、吉林省、黒竜江省、湖南省、広西チワン族自治区、海南省、チベット、貴州省、雲南省、陝西省、甘粛省、青海省、寧夏回族自治区、新疆ウイグル自治区など14の省(区)では、家畜家禽飼育禁止区の画定が完了しておらず、閉鎖や移転関連の業務も遅れている。2017年、農村での総合環境改善目標である2.8万の建制村(省・市級国家機関による承認を経て設置された行政村)の設置に関しては、2万の建制村が着手済みで(8509の建制村は設置済み)、青海省、吉林省、天津市、広西チワン族自治区など4つの省(区)では、設置が遅れている。
工業における汚染防止
製紙、鋼鉄、捺染、製薬、製革、窒素肥料の6業種で、クリーン化改造が完了済みの企業は1762社で完了率は84.6%。地域別では、広東省、安徽省、四川省、山東省、湖南省、遼寧省で、未完了の企業がまだ多い状態にある。
図 中国、6種の工業分野における企業のクリーン化改造状況
(出典:中国環境保護部データよりエンヴィックス作成)
省級以上の工業集積エリア1968カ所では、すでに集中汚水処理施設が建設されており、全体に占める割合は80.6%。また、全体の71.5%に相当する1746カ所には、オンラインモニタリング装置が設置されている。雲南省、甘粛省、新疆ウイグル自治区、青海省での集中汚水処理施設の建設およびオンラインモニタリング設置率は50%を下回っている。
2層タンクへの変更、または遮水槽の設置を実施済みの地下石油貯蔵タンクは、全国で累計7.5万カ所。湖南省、広西チワン族自治区、上海市、チベット、江蘇省、内モンゴル自治区、浙江省、天津市などでは、地下石油貯蔵タンクの更新・改造業務が遅れ気味の状態である。
なお、2017年上半期「水汚染防止行動計画」の進展状況の原文は、以下のURLより閲覧可能である(中国語簡体字)。
http://www.zhb.gov.cn/gkml/hbb/qt/201708/t20170824_420319.htm