ドイツの「飲料水法の規定を再編する2018年1月3日の政令(改正飲料水令)」が2018年1月8日付のドイツ連邦官報で公布され、翌1月9日に施行された(以下のURLに連邦官報版)。
https://www.bgbl.de/xaver/bgbl/start.xav?startbk=Bundesanzeiger_BGBl&jumpTo=bgbl118s0099.pdf#__bgbl__%2F%2F*%5B%40attr_id%3D%27bgbl118s0099.pdf%27%5D__1516076857627
ドイツの飲料水を所管する連邦環境省によると、同国の飲料水の品質は「良好」から「非常に良好」の範囲にある。その水質は頻繁かつ定期的に監視されていて、飲料水令の定める厳しい要求事項に対応している。今回の飲料水令改正のポイントは、上水道事業場や小規模な上水道施設がリスク評価の結果に基づいて、所定の水質検査項目の範囲やサンプル採水の頻度を現場本位で変えられるようにしたことである(第14条第2a~2c項)。
ドイツの水道施設の経営者またはその他の所有者(以下「所有者等」)が、飲料水令第14条第2項に基づく水質検査項目の範囲やサンプル採水の頻度に関する要求事項の適用除外を望む場合、「飲料水供給設備を対象としたリスク評価に基づくサンプル採水計画修正提案書(RAP)」を作成しなければならない。RAPは、(1)リスク評価結果(要旨含む)、(2)関係住民に知らせるための文面、(3)サンプル採水計画の変更案からなる。
所有者等は次の3つの手順を踏んで、適用除外を申請する。
- 作成したサンプル採水計画修正案に対するリスク評価を実施する。
- その結果に基づいて、水質検査項目の範囲やサンプル採水の頻度に関して、飲料水令の規定の適用除外を求める提案書を作成する。
- 以上をリスク評価報告書としてまとめる。
- この報告書を一部とする正式なRAP申請書を保健庁に提出する。
RAPの核心は、現場にとって重要な水質有害性や検査項目に焦点を絞り込むことにある。現場の条件に合わせたリスク評価をベースとする水質検査の目的は、サンプル採水と分析のための予算を可能な限り効率よく、飲料水の品質保全や人の健康のために活用することにある。ドイツ環境庁は1月3日、「RAPのガイドライン」を発行し、新規定の実際の運用の仕方を解説している(以下のURL)。
https://www.umweltbundesamt.de/sites/default/files/medien/421/dokumente/leitlinierap_annexii.pdf