スイス、河川水域における医薬品微量汚染物質3種の制限値をはじめて設定

スイス連邦環境省が2020年2月13日、河川水域保全令を改正し、同国ではじめて医薬品微量物質3種の制限値を設定した。4月1日付で施行する。

スイスでは河川水域がことのほか重要である。河川や湖沼から飲料水を作っているからである。しかし、農薬その他の微量汚染物質が河川水域を汚染し、さらに水中生物を損傷している。そこでスイス環境省はこのたび、河川水域をよりよく保全するため、河川水域保全令を改正することにした。これまでどおり、飲料水を取水するスイスのあらゆる小川、河川水域、湖沼では、農薬の濃度が1リットルあたり0.1mgを超えることは許されない。今回、水中生物にとってとくに問題な農薬12種について制限値を厳しくした。

スイス環境省はさらに、次の3種の医薬品についてはじめて濃度制限値を設定した。

医薬品の名称 CAS番号 制限値 2週間平均濃度に対する制限値
アジスロマイシン(アジスロマイシン水和物【5員環マクロライド系抗生物質】の製品名)日本での商品名は「ジスロマック(AZM)」  

83905-01-5

0.18 μg/l  

0.019 μg/l

クラリスロマイシン(マクロライド系抗生物質;咽頭炎、扁桃炎、慢性気管支炎の急性増悪、肺炎、皮膚感染症、非結核性抗酸菌、レジオネラ感染症の治療、ヘリコバクター・ピロリ除菌等)1970年代に大正製薬が創製し、1991年に米アボット社が市販  

 

81103-11-9

 

 

0.19 μg/l

 

 

0.12 μg/l

ジクロフェナク(フェニル酢酸系の非ステロイド性抗炎症薬;解熱・鎮痛剤)日本での商品名「ボルタレン」等  

15307-86-5

 

 

0.05 μg/l

スイス環境省によると、このように新たに制限値を設けることで、飲料水取水源をよりよく保全できるようになる。それだけでなく、水生生物に対する混合物の影響(カクテル効果)をよりよく評価し、必要に応じて追加の措置を講じることも可能になる。カクテル効果は、有害な影響を及ぼすおそれがある。

なお、河川水域保全令の実施は、各州(カントン)が所管している。各州は今後、対象物質の水中濃度が制限値を上回った場合、直接に措置を講じることができる。

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