米カリフォルニア州政府、飲料水中の六価クロムの新汚染基準策定に向けたワークショップを開催

米カリフォルニア州水資源管理委員会(State Water Resources Control Board)は2020年4月27日、飲料水中の六価クロム新汚染基準策定に向けたワークショップを開催した。同ワークショップでは、新汚染基準を策定する上で必要とされる経済的実現可能性の課題や分析結果を纏めた公式報告書の概要説明と、それに対する関係団体からの質問や提言等が行われた。

州水資源管理委員会は今年2月、飲料水中の六価クロムを対象とした新たな汚染基準(MCL:Maximum Contaminant Level)の策定にあたり、同基準の経済的実現可能性を検討する上で直面する課題と経済的実現可能性の分析結果を纏めた公式報告書(ホワイトペーパー)を公表した。さらに公式報告書では、新基準を策定する上でどのような追加情報や証拠となる情報が必要であるかを判断するために、多面的なアプローチとステークホルダーの関与とが必要であることも強調された。

ワークショップは今回、コロナ対策としてビデオ・電話を活用したバーチャルで開催され、地域住民、企業経営者、地方自治体、公共水道局などの関係機関・団体等が参加した。ワークショップでは、公式報告書に関する概要が州担当者から説明されたほか、参加した関係機関・団体による質疑応答や提言が行われた。

今回のワークショップの参加者のうち、カリフォルニア州地方水道局が加盟する非営利団体ACWA(Association of California Water Agencies)からは、スタッフや複数の加盟地方水道局の代表者が公式報告書に対するコメントを行った。ACWAは組織内に、水質委員会作業グループ(Water Quality Committee Work Group)を設置しており、飲料水中の六価クロムを対象としたMCLに関する経済的実現可能性の課題に重点的に取り組んでいる。

カリフォルニア州では多くの飲料水源から六価クロムが検出されており、これまで飲料水中の六価クロムを対象としたMCLの策定に取り組んできた。州環境衛生有害性評価局(OEHHA:California Office of Environmental Health Hazard Assessment)は2011年、飲料水中の六価クロムのMCLを制定する前段階として、癌のリスクに基づく公衆衛生目標値を0.02ppbと提案した。2014年には州公衆衛生局(California Department of Public Health)がMCLを10ppbと設定した。しかし州上級裁判所は2017年、MCLを制定する際に基準遵守コストを十分に検討しなかったとして同基準値を却下するとともに、州水資源管理委員会に対して新たなMCLを策定することを指示していた。

今回のワークショップの開催を踏まえて、公式報告書の内容に対するパグリックコメントの募集が開始され、2020年5月15日までコメントを受け付けている。

【関連URL
White Paper Discussion On: ECONOMIC FEASIBILITY ANALYSIS In Consideration of a HEXAVALENT CHROMIUM MCL(ホワイトペーパー):
https://www.waterboards.ca.gov/drinking_water/programs/documents/cr6econwp.pdf

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