米国で、飲料水中の過塩素酸塩の規制が遅れていることをめぐって、環境保護団体のNatural Resources Defense Council(NRDC)が2016年2月に環境保護庁(EPA)を相手取って訴訟を起こしていたが、同年10月17日に裁判所の調停によって合意が成立し、EPAによる規制の日程が決まった。この訴訟は、安全飲料水法によりEPAに義務づけられている過塩素酸塩の飲料水基準の提案と最終決定の期限が守られていないとしてNRDCが起こしたもので、同団体は、過塩素酸塩の規制に正当な理由があるという判断をEPAが2011年に下した*1にもかかわらず、それをうけてなされるべき規制がまだなされていないことを問題にしていた。
過塩素酸塩は、自然界にも存在する化学物質ではあるが、ロケット燃料、爆薬、自動車用緊急保安炎筒、および花火の製造にも使われ、甲状腺の機能を阻害する物質として知られている。
2018年10月31日までに規制案を提示、2019年12月19日までに最終規則化
今回の合意にもとづき、EPAは飲料水中の過塩素酸塩についての最大許容濃度目標(MCLG)および第1種飲料水規則の案を2018年10月31日までに提示し、これらを2019年12月19日までに最終規則化することになった。EPAとNRDCとのあいだで交わされた合意書には、規則制定に向けたEPAの努力を認める内容も盛り込まれている。合意書はまた、EPAが過塩素酸塩のMCLGの設定のための生物学的用量反応モデルについて2017年10月18日までにピアレビュー・プロセスを完了させる予定であることも明記している。
*1 EWBJ38号に関連記事あり「米EPA、飲料水中の過塩素酸塩や有害化学物質の規則の作成へ」