中国工業情報化部は2019年12月17日に、「国が奨励する工業節水工程、技術、装備(2019年版)利用ガイドラインおよび利用例」(以下「ガイドライン」)を発表した。「ガイドライン」は、2019年11月13日に公布された「国が奨励する工業節水工程、技術、装備リスト(2019年版)」(以下「リスト」)をより使いやすくするため、冶金工業計画研究院および中国水利水電科学研究院により作成された。「ガイドライン」では、「リスト」のうち一部の重点技術のメカニズム、工程、指標、利用例、技術所有者および利用者などが詳しく説明されている。
「ガイドライン」では、「電気化学循環水処理技術」など、56種の節水工程、技術、または装備が紹介されている。以下、「電気化学循環水処理技術」の例を説明する。
電気化学循環水処理技術
1. 技術所属領域および適用範囲
工業循環冷却水システムに適用。
2. 技術のメカニズムおよび工程
本技術は電解方式を通じ、陰極では強アルカリ性(pH>9.5)環境となり、Ca2+、Mg2+イオンについて、Ca(OH)2、CaCO3、Mg(OH)2などの化合物が形成される;陽極では酸性(pH<3.5)環境となり、Cl2、Cl-、O3-、HO-、H2O2、および活性酸素原子などの強酸化性物質が形成され、大量の次亜塩素酸が生成されることで、殺菌および微生物の成長を抑制し、循環冷却水の防腐、防沈殿ができる。また、膜技術、超音波による除去技術およびオゾン殺菌技術を併せて使用することで、循環冷却水システムの防腐、防沈殿効果を強化することができる。
本技術は循環冷却水システムの濃縮倍率を4~6倍まで引き上げ、約30%の節水効果が期待される。本技術の工程イメージ図は下記のとおり。
3. 技術指標
本技術は水の硬度を40%下降し、Cl-の除去率を70%達成する。濃縮倍率を4~6倍まで引き上げ、消耗水量を約30%、排水の排出量を30%~70%削減する。
4. 技術特性
- 濃縮倍率を引き上げ、補充水量および排水量を削減する;
- 化学薬剤を代替し、環境保護につながる;
- 自動化の程度が高く、メンテナンスが簡単;
- 熱交換機の熱効率を向上する。
5. 利用事例
「ガイドライン」では、同技術を使用している4つの企業を例として紹介されている。それらには、同技術の使用概況、実施内容および期間、節水の成果および投資の回収期間などの内容が含まれている。
上述の「ガイドライン」の原文は、下記のURLより閲覧できる(中国語簡体字)。
http://www.miit.gov.cn/n1146285/n1146352/n3054355/n3057542/n3057545/c7571607/content.html