ラ米ではPPPによる上下水部門への民間の参加が必要だが、法整備などの面で課題あり

水インフラ事業会社ACCIONA Agua社のラ米ビジネス開発部長によれば、ラテンアメリカでは水の需要は大きいにも関わらず、水分野への投資は遅く不定期なものとなっており、この原因の一端として、法整備不足と政府機関による投資保護欠如が挙げられる。

水の総合サイクルを専門とする民間企業の革新的なソリューションは、各国の上下水インフラ整備で重要な役割を果たすものであり、その為の手段となる官民提携(PPP)においては、政府と民間企業の長期にわたる協力体制が必要である。官民提携では民間企業は、経験と技術、資金調達を提供するだけでなく、予期しない事態や人事管理、請負業者管理に柔軟に対応できるというメリットを持つ。また、設計から調達、建設、立ち上げ、運営までの全てのバリューチェンにおけるシナジー効果で、最終コストの効率性を高めるなど、貢献度は高い。

しかし民間企業にとっては、契約を結ぶ国での法的安定性の確保が必要である。有利な条件で資金を調達できるように、法的枠組みは明快に定義されて解釈が都度変わるものであってはならない。官民提携は公共サービスの質を改善することを目的とするべきであり、プロジェクトにまつわるリスクは政府と民間企業とで適切に配分され、必要な資源は共同で管理する必要がある。

この意味で、ラ米の投資環境は全ての国で正しく整っているわけではない。ACCIONA社にとって官民提携において安定した市場となっているのはペルーであり、ペルーではACCIONA社は官民提携による汚水処理プラントの運営を30年間続けているが、各国の事情に合わせて同じような例を実現すべく、同社は他のラ米の調査を進めている。

ACCIONA社にとって官民提携で最も重要なのは、法的安定性と、プロジェクトの資金調達を可能にするための何らかの保証メカニズム、そして各国で適用される法的枠組み内でプロジェクトをうまく機能させるための法案の策定である。スケールメリットを生かすためのプロジェクトの規模を検討すれば、水道料金のみでの運営は可能であり、政府の援助は抑えることができるであろうと、同社のビジネス開発部長は指摘している。

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