環境保護団体の環境ワーキング・グループ(EWG)は2008年5月21日付の環境保護庁(EPA)宛の書簡の中で、飲料水規制のためのEPAの汚染物質候補リスト(CCL 3)の最終案にパーフルオロ化合物(PFC)と調合薬を載せ、これら広く汚染の広がった汚染物質の一部の基準を公布する差し迫った必要があると述べた。
EPAが2月21日に発表したCCL 3案には、ペルメトリンといった殺虫剤、生体毒素、殺菌副生物のような化学物質93種とサルモネラ菌や赤痢菌などの水中病原体のような微生物11種が挙げられている。
EWGが行なった分析に基づく書簡の要点は、次の通り。
- 全国の水道水は、少なくとも260種の化学物質で汚染されている。これには、テフロン加工の調理器具、防汚製品、紙材、カーペット、防水繊維、消火用泡といったさまざまな製品に使われている化学物質のPFCが含まれる。
- また、水道水には、抗生物質、性ホルモン、てんかんやうつ病の治療薬などのさまざまな調合薬が含まれており、そのすべてがこの水の消費者に健康上のリスクを引き起こす恐れがある。
- したがって、EPAは、CCL 3の最終案にすべてのPFCを載せて、パーフルオロオクタン酸(PFOA)の規制基準を制定し、また水道水で検出された抗生物質などの調合薬をCCL 3の最終案に載せるべきである。
EWGの書簡によると、PFCは、何千年もの間環境中変わらず存在し続け、地下水、湖沼、河川、そして海洋を通じて循環して水、食品、空気、およびほこりなどに含まれて野生生物や人々に戻ってくることを繰り返して、その体内で蓄積される。
PFOAのようなPFCへの暴露は、胎児や新生児の発育障害、生殖ホルモンや甲状腺ホルモンの変化、肝機能障害、血中コレステロール濃度の増加、高齢期に慢性疾患になりやすくなる可能性などの問題を伴うことが分かっている。
CCL 3案には、PFOAは入っているが、たとえば、パーフルオロオクタンスルホン酸やパーフルオロブタン酸は含まれていない。
また、浄水場は、処方薬を服用した人々の体から出た薬の残りを除去するように設計されていない。
米国内で普通に処方される上位200種の薬のうちの13 %は、人の血液中に100 ppb未満の濃度であれば深刻な副作用があることが知られている。その中には、飲料水の水源で見出される濃度に近いppt(1兆分の1)の濃度で健康リスクを生じる恐れのあるものもある。
なお、EWGの書簡は、以下のウェブサイトで閲覧可能。
http://www.ewg.org/node/26602