米EPA、水問題は気候変動問題より緊急、問題解決に向け将来日本などとの連携も計画中

米環境保護庁(EPA)は2019年3月20日、水問題を気候変動問題より緊急とし、従来の位置づけから変えるべきだと、Andrew Wheeler長官が発表したことを伝えた。同長官によると、水問題はもはや数世代にわたって起きている問題であり、現在も毎年、突然死を引き起こすなど、人の健康に影響を与えているという。

次に、Wheeler長官は水問題を安全な飲み水の取得、プラスチック廃棄物による海洋汚染および水インフラの整備という三つの側面に分け、それぞれの現状と課題について紹介した。以下はその要点である。

安全な飲み水の取得 Wheeler長官によると、EPAは過去、「Drinking Water Laboratory Capacity Building Program」などのプログラムに参画することで、多くの国々や地域に資金や技術を提供したという。また、2019年2月、EPAは、同庁が先頭に立って「Water Reuse Action Plan」を策定していくと発表したが、同長官は、この「Plan」を通じてEPAが実現しようとしているのは、廃水のリサイクル、油やガスから水を抽出するための新たな技術の開発など、水分野における様々な革新的な仕事を連邦政府の指導の元で加速させることだ、と述べた。
海洋プラスチック廃棄物問題 Wheeler長官はEPAが取り組んだ事例をいくつか紹介した。例えば、世界初の「Recycling Summit」の開催、「Trash Free Waters program」の実施、他の国における必要なインフラの整備などが挙げられた。そして、将来的には、欧州や日本の関係者たちとともに、世界全体の海洋プラスチック廃棄物総量の約6割を占めているアジア6か国の廃棄物の課題に取り組んでいきたいと述べた。なお、同長官によれば、2019年の夏にフランスにて行われるG7サミットおよび日本にて行われるG20サミットでは、海洋プラスチック廃棄物の課題が最優先事項として取り上げられる見込みである。
水インフラの整備 Wheeler長官は、水インフラの整備において資金不足は大きな課題の一つだと指摘した。そこで、EPAは「Water Infrastructure Finance and Innovation Act」(WIFIA)により立ち上げられた水インフラへの投資を加速するプログラムを通して、水インフラ整備のための長期ローンを低金利で提供しているという。また、同長官は、このような資金支援を、他の国や国際機関(国連や世界銀行)も提供できればと述べた。

一方、Bloomberg社によると、トランプ政権の予算案では、次の会計年度にEPAの水プログラムに提供する資金を削減することが提案されている。この提案が承認されれば、EPA最大の水プログラム「State Revolving Fund」の予算は12%削減されることとなる。同プログラムは、水インフラの整備事業に対し、低金利での融資を行っている。このほか、トランプ政権は「Army Corps of Engineers」への予算を約33%、「Bureau of Reclamation」への予算を約30%、それぞれ削減することを提案した。これらの連邦機関は、米国西部の水資源を管理している。

なお、ジョージア大学のJambeck氏らが2015年に行った報告によると、海洋ゴミの排出ワースト20位国のうち、上位6か国はすべてアジア国で、順番として一位から中国、インドネシア、フィリピン、ベトナム、スリランカ、タイと続いている。

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