米環境保護庁(EPA)上下水道・水環境局、地下水・飲用水部のPeter Grevatt部長は2014年8月6日、オクラホマシティでひらかれた水質浄化担当官協会の第53回年次総会で講演し、再生処理済みの下水の飲用再利用に関するガイダンスをEPAが作成する計画があることを明らかにした。下水の再利用については、これまで、EPA上下水道・水環境局下水管理部が2012年に作成したガイダンスがあるが、作成の計画が今回明らかになったガイダンスは、この2012年版の内容を補うものとなる。
Grevatt部長によると、2012年版のガイダンスは、再生処理した下水を飲用に直接再利用することには触れておらず、地下の帯水層への再注水などの間接再利用に重点が置かれていた。「水の再利用については、飲用という観点から見る必要がある」と同部長は述べた。
深刻化する水不足
2013年、カリフォルニア州は史上最悪の水不足に見舞われた。いっぽう、テキサス州もこの2年間、大恐慌と時を同じくして大規模な砂嵐がたびたび発生した時期――ダスト・ボウル期――よりもひどい渇水に直面している。雨量の少なさは記録的で、この状況がいつまでつづくのかだれにもわからない、とGrevatt部長は語った。
同部長は、西部および南西部の諸州で渇水が飲用水の供給をおびやかしているいまこそ、飲用水プログラムをさらに推し進め、再生処理水を飲用に直接使うことの効果について議論すべきときだと述べた。
飲用への直接再利用の安全性
再生処理水を飲用に直接再利用するとなると、だれしもまず頭にうかぶのは、「いったいどんな水を飲まされるのか?」、「どの程度まで安全なのか?」という疑問だ。
こうした疑問に答えるために、EPAは州飲用水担当官協会(ASDWA)と協力してガイダンスを策定する予定だとGrevatt部長は言う。いっぽう、ASDWAのJim Taft事務局長は、同協会はガイダンス案が出てくればそれを検討してコメントはするが、ガイダンス作成をリードするのはあくまでもEPAであるという考えを示している。
なお、ガイダンスがいつできるかについては、Grevatt部長もTaft事務局長も明確な見通しを示さなかった。