タイ、国内の総合的な水管理を定める水資源法を公布

本稿はエンヴィックス「水ビジネス・ジャーナル」の無料サンプル記事です。
季刊レポート(年4回)の配信につき1件程度公開しています。
水ビジネス・ジャーナルをご契約いただくと、2,550件(2019年5月現在)の記事の閲覧・各種検索機能をご利用いただけます。
» サービス案内・ご購読はこちら

2018年12月28日、タイで「仏暦2561年(2018年)水資源法」(Water Resource Act B.E. 2561、以下「本法」)が公布された。公布から1か月後に施行する。ただし、以下に示す4章(水利用の割り当て)に関する規定は2年後に施行する。全9章からなる本法の概要は以下のとおりである。

1 水資源
政府は、国民の利益が最大化するよう水資源を開発し、管理し、維持し、修復し、保全する権利を有する。そのための施策には、水資源の変更、形状または規模の拡大または縮小が含まれる。首相は、公共の水資源の維持・管理に責任を負う機関として、地方政府を含む政府機関を指定することができる。

2 使用する権利
水資源は公衆のものであり、誰もが必要に応じて水を使用および貯蔵することができるが、水資源および同じ水資源を共有する他者に対していかなる損害も与えてはならない。

3 水資源管理担当機関

  • 首相を委員長とする「国家水資源委員会」を設置する。その運営は、「国家水資源委員会事務局」が担当する。この委員会は、以下の責任を負う。
  • 水資源管理に関する基本計画の策定
  • 水資源管理および予算に関する関係機関の行動計画の承認
  • 水の使用、開発、管理、維持、修復に関する基本計画の承認
  • 国の水資源政策の下で責任を負っている他の政府機関の監督
  • 国の水資源は流域によって分割することができ、流域に含まれる県の知事のうち1人を委員長とする「水流域委員会」を設置する。同委員会は、以下に責任を負う。
  • 水の使用、開発、管理、維持、修復、保全に関する「流域基本計画」の策定
  • 同一の流域に居住する個人は、その流域に「水使用者機構」を設立する権利を有し、本法律の実施規制に基づき認められる活動をすることができる。

 第4 水利用の割り当て
国家水資源委員会は、国民による水の消費、環境保護、文化的使用、災害対応、交通、農業使用、産業使用、商業使用、観光使用の活動の中で、水を使用する優先順位を決定する。さらに、公共用水の使用を以下の3つのカテゴリーに分類する。
第1カテゴリー:生命維持、世帯消費、自立のためのプランテーションおよび農業、家庭内工場、環境保全、文化的目的、災害対応、交通、および少量の使用
第2カテゴリー:工業、観光、発電、および水道水の製造を目的とした使用
第3カテゴリー:複数の流域に影響を与える可能性がある大規模プロジェクトのための使用
第2、第3カテゴリーは、使用にあたって王立灌漑局、水資源局、または地下水資源局のいずれかから許可を得なければならない。

 第5 干ばつおよび洪水
干ばつが発生した場合は、その影響を受けた地域では、使用者の水の消費を制限したり、流域を越えて水を移動したりすることができる。 また一部の地域では、洪水発生時に備え、早期避難警報システムを含む緊急時対応計画を作成しなければならない。

6 公共水資源の保全および開発
国家水資源委員会は、公共水資源に問題が起こる、または放水路が遮られる可能性を排除するため、一定の区域を「保全区域」に指定することができる。この区域は自由な使用が禁じられる。

 第7  公共水資源の水路検査または保全
当局は、公共水資源の水路検査または修復のため、施設に立ち入る義務を負う。

8 民事犯罪
水資源に損害をもたらした個人は、その対応・復旧のために政府が支払った費用の総額を支払わなければならない。

9 罰則
本法律の違反の中で最も重大なものは、公共水資源の使用制限の違反、水資源の汚染、構造物または設備の設置制限の違反であり、その場合10年間の収監および最高100万バーツ(約350万円)の罰金が課せられる。

本法により、水資源の量的および質的な管理が可能となり、今後関連する複数の省庁から、それぞれの所管する領域における運用についての実施規則が公布されると見られている。

本法の原文は以下よりダウンロード可能である。
http://www.ratchakitcha.soc.go.th/DATA/PDF/2561/A/112/T_0044.PDF

本稿は、国内唯一の水ビジネス情報専門サービス「水ビジネス・ジャーナル」の無料サンプル記事です。
本WEBサイトでは、国・地域別企業別記事テーマ等の充実した分類から、水ビジネス情報をお探しいただけます(一部のサンプル記事を除き、記事閲覧は要契約・有料です)。是非とも採用をご検討ください。

» サンプル記事一覧
» 水ビジネス・ジャーナルについて
» 個別委託調査

タグ「」の記事:

2019年4月8日
中国天津市・市場監督管理委員会、強制地方標準の「農村生活汚水処理施設の水汚染物質排出標準」(意見募集稿)を発表
2019年4月1日
NRDC、飲料水のPFAS化学物質の汚染問題解決に向けて、ミシガン州政府に提言
2019年2月21日
米NASEM、EPAの雨水管理許認可プログラムの更新を提言
2019年2月15日
中国生態環境部、「地下水環境モニタリング技術規範」(パブコメ版)など7本の国家環境保護標準(HJ)を発表
2019年2月1日
中国上海市水務局、「排水者に対する管理監督業務のさらなる強化についての通知」の改正について通達――排水に関する基準の引き上げを図る