中国水質汚染防止法改正の意義――国家環境保護部の周生賢環境保護部長が解説

2008年4月上旬、中国環境報の記者が国家環境保護部の周生賢部長にインタビューし2008年2月に改正された水質汚染防止法の意義を説明した。以下は、その概要である。

 

【記者】水質汚染防止法改正には旧国家環境保護総局(現環境保護部)が全過程について参画したが、その情況はどうだったか。

【周生賢】

1984年公布の水質汚染防止法は、1996年に一度改正した。しかし、(1)水質汚染物質排出総量が下がらない、(2)一部流域で水資源の過度の開発利用がある、(3)住民の飲用水の安全に大きな隠れたリスクがある、(4)水質汚染事故が頻発している、などの課題が生じ、改正の必要が出てきていた。旧国家環境保護総局と国務院法制弁公室とで2005年から2年をかけて「水質汚染防止法」改正草案を完成させた。2007年8月と12月、全国人民代表大会が2度にわたりこれを審議し、大衆の意見を聴き、草案に手を加え、2008年2月28日に全人代の3回目の審議で可決された。

 

【記者】今回の改正で何が獲得できたか?今後の活動にどのような推進作用があるか?

【周生賢】

(1)「国民経済・社会発展計画」における水質汚染防止の位置づけを法律で初めて明確化した。県級以上の人民政府が水環境保護業務を『国民経済・社会発展計画』に組み入れるようにしなければならないことを明記した。これは、法律法規によって、水環境保護を経済社会発展の主流、主戦場に入れることを推進し保障することを意味し、環境保護によって経済社会発展を改善する法的基礎ができたことになる。

(2)水質汚染防止の管理システムを従来よりも細かなものに整備した。水質環境保護の目標責任制、考課評価制度、生態補償メカニズム、汚染排出許可制度、地域限定認可制限の制度、行政代執行制度、水質汚染損害訴訟法律援助制度などの制度、メカニズムの法律上の地位を新たに確立させた。

(3)水質汚染防止についての地方政府の責任をより明確化させた。県級以上の地方政府が当該行政区域の水質環境の保全に対して責任を負うことを明確にし、同時に、水質環境保護の目標達成状況をその地方人民政府及び責任者の考課評価の内容に入れた。特に、各地方政府の総量規制達成状況は社会に公表しなければならないことを定めたことで、総量規制の数値が達成されるようになることが期待される。

(4)違法行為の法的責任を一層重くした。改正後の「水質汚染防止法」の罰は全般的に重くなっており、一部の行為に対する罰金の上限額を無くした。

(5)環境保護部門の法執行の権限をより強化した。

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